東京高等裁判所 昭和32年(ネ)97号・昭31年(ネ)1754号 判決
以上のような関係であるから控訴人らは訴外宝祥寺所有の本件土地をなんら権原なく占有するものと認めるのほかなく、右宝祥寺に対する賃借人としての債権を保全するため宝祥寺に代位して控訴人らに土地明渡を求める被控訴人の請求は正当として認容すべきものである。
また被控訴人は賃借人として本件土地の引渡を受け訴外笛木に転貸し同人をして占有せしめていたことは前段説示したところにより明らかであり、したがつて控訴人田中下枝が昭和二十六年六月十四日以降前記家屋を所有していることは、被控訴人の賃借権にもとずく土地利用を妨げるものであり、言いかえれば被控訴人の有する賃借権の行使を妨害する不法行為である。したがつて、同控訴人は右不法行為の終了するまでの間、それによる損害を賠償する義務あるものである。
しかして特段の事情なき限り、右控訴人の不法行為により被控訴人の被むる損害は少くとも被控訴人が本件土地を第三者に使用せしめて収益し得る相当賃料額というべきところ、本件土地に対する昭和二十八年一月一日以降の停止統制賃料額が被控訴人主張のとおりであることは真正に成立したと認めるべき甲第四号証の一、二と本件土地の坪数により算出しうるところである。よつて控訴人田中下枝は被控訴人に対し本件土地の不法占有期間中である昭和二十八年一月一日より昭和三十年十二月十三日までの損害金として被控訴人(附帯控訴人)の主張するとおり金二万二千八百七十円の損害金を支払う義務あるものである。
(藤江 谷口 浅沼)